レトロ列車の旅(1996年11月30日)
大人気の機関車EF58が本線上から引退して久しいですが、かつてはイベント列車に引っ張りだこでした。1996年11月には品川駅主催のツアー形式のイベント列車が運転され、参加しています。
今回は、その際の乗車記をお届けします。
以下は当時のままの文章です。運賃・料金や時刻など、現状とは異なる場合があります。
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ある日の学校の帰り、品川駅で「旧型客車の旅」のポスターを見つけた。内容は品川から大船まで往復し、弁当とお茶つきで3900円と値段も手ごろだったので衝動的に申し込んでしまった。
当日の編成↓EF58がプッシュプルで旧型客車4両を牽引するという豪華編成。
機関車 EF58 89 |
スハフ42 2173 |
オハ47 2239 |
オハ47 2246 |
スハフ42 2234 |
機関車 EF58 61 |
下り側の先頭はEF58 61 品川駅にて
今回のレトロ列車は、「品川駅おもしろ体験イベント」の一環として運転される。会場のホームには、EF81 81+”夢空間”や、蒸気機関車D51 498などが展示されているが、まずは集合場所である12番線ホームに行く。
集合時間である10時45分ごろに着いたが、すでに列ができている。ここで座席指定券と弁当、お茶、それに団体旅行扱いとなるため”びゅう”のバッヂを受け取りいったん解散となった。
11時20分ごろ、EF58 61を先頭に旧型客車の編成が入線した。まずは横須賀線ホームから撮影する。61号機は1か月前にお召し列車をけん引した時にきれいに磨かれており、今日もきれいな車体を見せてくれた。先頭には「いでゆ」のヘッドマークが。
客車には「品川―大船」のサボがついている。ひととおり撮影し、指定された2号車22番A席におさまった。
11時41分、汽笛がなったあと、客車ならではの揺れがあって静かに動き出した。すぐに横須賀線下り線に入る。
特急列車のオルゴールがなり、乗車中の注意と案内が入った。車内禁煙のほか、トイレは使えないこと、走行中はデッキに入らないことの注意があった。トイレは垂れ流しなので非衛生的だし、車両の乗降扉は手動式でカギがかからないの走行中に開いたら危険なのでデッキも立入禁止となったのだろう。各車のデッキには係員がはりついている。
最初の通過駅、西大井では撮影者は思ったほど多くなく10人ほど。この先は掘割の中を新幹線と並走するが、高いフェンスに囲まれて撮影者はほとんどいない。品川駅で受け取った弁当はD51 498の写真が入った今回のイベント特製のもの。赤飯や巻き寿司、押し寿司などがあり、おかずとして煮物が入っている。食べているうちに新川崎を通過。ここでも10人ほどの撮影者がいた。駅を出て高架線に入ったところで緊急停車。車内放送によると、この先で線路内侵入者とのこと。本当にいい迷惑である。安全確認ができたのか、5分ほどで再び発車。
鶴見を出ると、すれ違う列車も多くなる。新子安には大勢の撮影者が集まっていた。ホームには京浜東北線の大宮方面行きが停車中でやきもきしていたことだろう。
やがて東海道線の下り列車と並走した。多くの人がこちらを見ている。もうすぐ横浜駅を通過。東海道線を引き離す。しかし、こちらの列車はそれほど早くはなく、保土ヶ谷あたりで追いつかれた。やはりほとんどの人がこちらを注目。先月のお召し列車はニュースでも報道されたので、またお召し列車が走っていると思っている人もいるのではないか。手を振ってくれる人もおり、天皇陛下になった気分で手を振り返してみたいが、一人なので気恥ずかしい。
上り側の先頭はEF58 89 大船駅にて
途中では今回の行程で唯一のトンネルを通ったが、さすがに旧型だとすき間風が多く入ってくる。旧型客車は火災対策の点から、現在では冬でも暖房を入れることができないようだが、今日はそれほど寒くは感じなかった。トンネルを出ると東戸塚を通過。ここまで来ると、沿線はビルなどが少なくなり、撮影者多く集まっているポイントも見られる。戸塚をでるとまたチャイムが鳴り大船到着を知らせる。大船には定刻より4分遅れて6番線に到着した。大船では折り返しまで20分ほど時間があり、反対側のホームから撮影を楽しむ。撮影をしていると時間などあっという間で、発車5分前になり缶コーヒーを買って車内に戻った。
帰りの列車は大船を定刻に発車。晩秋だと、まだ昼の1時を過ぎたばかりなのに西日のような太陽光線。車内は、鉄道ファンのほかに親子連れも結構乗っていたが、疲れてしまったのか、おとなしく寝ている子供が多い。
横浜を通過し、新子安を過ぎると目立った撮影者の集まりは見られなくなった。西大井を出たところでまた例のチャイムが。そして終着が近いことを知らせる。駅構内に入り、東海道下り本線を横切り、大勢のファンが待ち構える品川駅7番線に着いた。
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以前から大人気で、JRになってからも5両が動態保存されたものの、老朽化により2011年までに引退してしまいました。本線上では見ることができなくなってしまいましたが、89号機は鉄道博物館で、お召指定機の61号機は東京総合車両センターで大切に保管されているそうです。そして、同センターのイベント開催時で展示されたこともありました。
2010年8月の東京総合車両センターイベントで展示されたEF58 61号機
今後も、晴れた空の下でこの茶色い機関車を見る機会があってほしいものです。難しいかもしれませんが、可能であれば通電状態で短区間でも構内運転で元気な姿を見せてくれたらうれしいですね。
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コメント
茶色い機関車に茶色い客車、ましてやEF58のプッシュプルとは豪華過ぎますね!?久しぶりに61号機に会いたくなりましたが、姿を見るのはなかなか難しそうですね…
投稿: オオキ | 2016年2月 8日 (月) 22時10分
この頃はまだ国鉄が民営化してから10年くらいしかたってないから、国鉄形の車両もたくさんあったけど、そういうものの“豪華さ”っていうのはなくなってからわかるものなんだよね。
61号機は特別な機関車だから、そう簡単には見せてくれないかも・・・。
投稿: ひで | 2016年2月 8日 (月) 22時50分