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2016年3月 2日 (水)

九州新幹線と鹿児島の旅1日目(2004年6月12日)

2004年3月、フル規格としては長野新幹線以来の新しい路線名の新幹線「九州新幹線」が開業しました。この新しい新幹線の開業3か月後に、鹿児島観光を兼ねていち早く乗車してきました。

当時は新八代~鹿児島中央間の部分開業のため、空路で鹿児島入りし、肥薩線を乗りつぶし新八代から新幹線に乗る周回ルートで移動しました。

以下は当時のままの文章です。運賃・料金や時刻など、現状とは異なる場合があります。

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日本航空からまた新しい割引運賃がでた。「おともでマイル割引」で、10000マイルと同行者1名18000円で往復できるというのだ。往復18000円というのは安いし、マイルも普通なら15000マイルで往復するところ5000マイルも割引になるので、これを利用しない手はない。本当はまだ行ったことのない沖縄へ行って、モノレール乗車と観光をしてきたかったのだが、満席だったのでできたばかりの九州新幹線をメインに、鹿児島に行くことにした。

今回も横浜からリムジンバスで羽田空港へ行くが、横浜駅で今日使うJR乗車券と指定券、新幹線特急券を買っていたら時間がたってしまった。空港へのバスは10分間隔で出ているのですぐに乗ることができたが空港到着は出発時間の30分前を切っていた。
 出発の10分前までに乗ればよいことになっているが、搭乗前の保安検査に長蛇の列ができていた。テロを警戒して保安検査が強化されているのに加えて、朝は出発のピークなのだ。チェックインは済ませてあるのでおいていかれることはないだろうが、時間が気になる。出発の迫った便は優先的に検査を受けることができ、何とかそこを抜けることができた。
 出発はバスで搭乗口まで案内される。時間が迫っていたようで、席に着いたらまもなく出発となった。朝は慌しく朝食を食べるひまがなかったので、機内サービスのスープを2杯飲んだ。有料でもいいので、サンドイッチなどの軽食販売があればよいのだが・・・。
 定刻より少し遅れて鹿児島空港に到着。空港は駅から離れているので路線バスに乗り換え。日豊本線の国分駅へ行くバスが出るまで時間があるので空港の喫茶スタンドで軽く朝食。バスは20分ほどで国分駅に着いた。

 国分からは列車の旅。横浜駅では、国分から肥薩線・新八代・新幹線経由鹿児島中央行きの片道乗車券を買ってある。まずは一駅隣の隼人まで。次の列車は特急で、普通列車は1時間以上待つ。それを待っていては接続がよくないので、たった一駅3分だが特急に乗る。料金300円を払って乗る以上は短い時間でもしっかりと席に座る。
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なぜかヘッドマークは真っ白だった。

 隼人からローカル線の肥薩線に乗り換え。たった1両のワンマンディーゼルカー。それでも車内は空席が目立つ。制服を着た学生など地元の利用者が多い。車窓に広がる水田では、今がシーズンなのか田植えをする農家の姿が多い。地域によっては5月の連休に田植えをするところもあり、気候によるものだろうか。途中の駅はすべて無人だが、古い木造の駅舎が残っている。
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隼人から乗った肥薩線の普通列車吉松行き

 吉松には昼過ぎに到着。肥薩線と吉都線が接続する駅だが、列車の発着する時間以外は静まり返っている。待合室にはお座敷があり、靴を脱いでくつろげる。駅を出て左手には、昔、肥薩線を走っていたSLが保存されていた。Img_00181_2
吉松駅近くに保存されているSL C5552号

 吉松では次の列車まで約2時間ある。周辺にはいくつか温泉があるので、その中の吉松駅前温泉に行くことにした。が、お腹がすいたので先に昼食にする。街中を歩いていると、小さな女の子がすれ違うときに「こんにちは」とあいさつしてくれた。ちょっと遅れてこちらも「こんにちは」と返す。ただそれだけだがうれしい。駅から10分ほど歩いたところにあるAコープで弁当を買って、SLのそばにあった木製のイスとテーブルで食べた。

 食後、一息ついたところで温泉へ。吉松駅前温泉は文字通り駅前にあり、列車の発車ぎりぎりまでいても間に合うだろう。最近リニューアルオープンしたらしく、それを祝う花輪がいくつか並んでいた。入り口などはまだ整備途中らしく、隣接する商店で入浴料250円を払って入る。
 風呂には先客はなく、源泉かけ流しの浴槽を独り占め。設備もまだ新しく、湯船に出たり入ったりしてとても贅沢なひと時を過ごした。
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さっぱりして駅に戻ると、次に乗る列車「しんぺい」はホームで待っていた。特急列車「はやとの風」も発車を待っており、一時の賑わいを見せていた。
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左が「しんぺい」 右は「はやとの風」

 「しんぺい」は、吉松と人吉を結ぶ観光用の普通列車。この区間はもともと乗客が少ないところだが、スイッチバックやループ線、日本三大車窓など、列車の旅の魅力が凝縮されている。そして、2両編成のうち1両は木を使ってレトロ風に改造された指定席となっている。指定券は今朝の横浜駅で買ったが、4人用の向かい合わせ席を2人でゆったり使えた。
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「しんぺい」は、前後で違う車両を使っている

吉松を発車してしばらくすると、吉松の街並みが右手に見下ろせる。エンジンをうならせながら山を登っているのだ。肥薩線では、戦後まもなく戦地から引き上げて来た人たちを乗せた列車が、坂を登れずにトンネル内に停車してしまい、乗っていた人が線路に降りていたが、ブレーキが緩んで列車が後退して多くの人をひいてしまうという悲しい事故があったそうだ。そのトンネルの出口には、その事故を悼む慰霊碑が建っており、徐行運転で見学することができた。
 次の真幸駅はスイッチバックの駅。急な上り坂をを一気に上ることができないため、駅に停まったあと、引き上げ線にバックしてから引き続き上るという特殊な線路配線の駅だ。横から見るとジグザグの形に上っていく。
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真幸駅のホームにて。今回の旅行では唯一この駅だけが宮崎県にある駅です。

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スイッチバックでホームの一段高いところを走っていく

次の矢岳駅には、SL D51 170号が展示されており、こちらの見学のために少し停車時間があった。矢岳駅の駅舎も、まるで時代に取り残されたかのような立派な木造の駅舎で、かつての様子をしのぶことができる。
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矢岳駅のD51170

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矢岳駅の立派な木造の駅舎

そして大畑駅。駅のずっと手前から、車窓の眼下遠くにレールが見えた。これから山を巻くようにループ線となって下っていくのだ。列車に乗っていてはよくわからないが、太陽の位置でそれを知ることができる。そして着いた大畑も、真幸と同様スイッチバックとなっている。かつては長大トンネルを掘る技術も未熟で、坂道発進が苦手なSL時代に考案された方式がスイッチバックであり、ループ線なのである。土木技術と車両性能の向上でこのような方式はどんどん改良され全国でも珍しい存在となった。この路線は、近代鉄道技術の生きた遺産と言えるのではないだろうか。
 こうして「しんぺい」は1時間かけて人吉に着いた。
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画面中央に見える、茶色いところがこれから走る線路。時計回りに山を回ります。

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大畑駅も木造のひなびた駅舎

人吉では「九州横断特急」に乗り換え。たいそうな名前の列車だが、編成はたった2両のミニ特急。熊本と大分を経由して、別府まで走る。地図を見れば、確かに横断してるといえなくもないが・・・。特急券を持っていなかったので窓口へ。新幹線の特急券があれば乗継割引になると思っていたが、九州新幹線は例外なのか、割引はなかった。
 先頭車両の一番前、進行方向右側に席を取る。ここは、デッキをはさむものの列車の前面展望が楽しめる特等席だ。
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いくつか空席を残したまま発車。しかし、途中駅でまとまった乗車があり立客もでた。のどが渇いてきたが車内に自動販売機などはなさそう。降りるまで我慢かと思ったら、ぜんぜん期待していなかった車内販売がやってきた。発車直後に車内を巡回した女性車掌が、車内販売も担当しているのだった。おかげでポカリスエットでのどを潤しながら、球磨川の急流の車窓を楽しむことができた。その球磨川も、河口に近づき緩やかな大河の表情を見せたころはもうすぐ八代到着。そして、まもなく右側から新幹線の高架線が近づき、新八代に着いた。

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在来線の新八代は、新幹線の乗り換え駅とは思えないほどの小ぢんまりとした駅だ。もっとも博多方面の接続特急「リレーつばめ」は直接新幹線ホームに乗り入れるから、こんなものかもしれない。新幹線乗り場の案内をたどっていくといったん改札を出て、外から入りなおす。暫定開業とはいえ、エレベーターはあるものの階段を上り下りしなくてはならずに不便だ。

 新幹線の駅は在来線と違って立派なつくりになっている。自動改札を通りホームに上がると在来線の「リレーつばめ」がいた。新幹線「つばめ」は発車したばかりでその姿は見えない。しばらく待っていると、鹿児島方面から白い車体が滑り込んできた。折り返しのため車内清掃が終わるまで外観を見て回る。
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車体は「つばめ」のロゴマークが目立つ。

 清掃も終わり車内に入る。横に2人と3人が並ぶ座席が標準の新幹線の普通車だが、「つばめ」は4列でゆったりとしている。車内は木を多用した高級感ある内装だ。Img_00452

博多からの「リレーつばめ」の接続を受け、発車してしばらくすると航空機のパイロットのように、運転士が「つばめ」を紹介する放送があった。最高時速260キロは「のぞみ」の300キロには及ばないが、外の景色は一瞬にして過ぎ去る。トンネルが多いのも特徴で、これは長野新幹線や東北新幹線(盛岡~八戸)など、最近の新幹線に共通していることでもある。
 途中川内のみ停車し、終点の西鹿児島改め鹿児島中央に到着。昨年夏に来たときは工事中だったが、新幹線ができてきれいになった。まずは予約してあるホテルに直行。ホテルへは市電で。市電乗り場もきれいになっており、従来道路の中央にあった電停が、鹿児島中央駅側によって横断歩道を渡らずに電車に乗れるようになった。
 ホテルは天文館の近くにあるビジネスホテルで、チェックインしたあと夕食のために街にでた。ガイドブックを見ながらラーメン屋に行ったがおいしくなくてがっかり。それでもお腹はふくれたので、コンビニでお酒を買って部屋に戻る。

(つづく)

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コメント

肥薩線は本当に景色が良い路線だよね!!スイッチバックにループもあって、乗るだけでも観光になるしね♪

投稿: オオキ | 2016年3月 3日 (木) 20時52分

木造の古い駅舎とかが昔の日本を見ているような気がしていいんだよね。また行きたくなりました。

投稿: ひで | 2016年3月 5日 (土) 22時01分

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